民事信託
超高齢社会が進展する日本。高齢者の人口は約3200万人に達し、人口の4分の1を超えています。さらにその中でも認知症の患者数は420万人とも言われ、相続対策の前に認知症の備えをしなければいけない時代になっています。
しかし、それに対応する成年後見制度は機能しているとは言えません。監督する立場の家庭裁判所は、年々増加する後見人の需要に追い付いていけず、そのため画一的な運用しかできない事態になっています。元々が認知症や病気になった人の財産を守るという建前があるため、自由な財産管理を想定している制度ではなく、逆に管理に縛りを設けようというのが制度趣旨です。
そうした中、従来の民法や裁判所の考え方から脱して、自由な財産管理手法としての制度・法律が注目されています。それが「民事信託」です。「信託」と聞くと、信託銀行が行っている投資信託や遺言信託を思い浮かべますが、全く違うものと考えてください。
それぞれの家族に合った財産管理や遺産承継の手法が取れ、認知症になった後の対策やいわゆる「争族」対策にもとても有効です。